11・01・09
「緊急のアナウンス」
飛行機の中、男が本を読んでいる。 老人がジュースを少しづつ飲んでいる。 若い恋人が毛布をかぶって眠っている。
急に機体が激しく揺れ動く。
男:“どうしたんだ?”
乗客たちは起き上がって不安そうな顔をする。 揺れは益々激しくなり、突然機体が急降下する。
乗客達:“うああ、うああ”
コップや雑誌が宙を舞い、乗客達が悲鳴を上げる。 窓の外では海がどんどん近付いてくるのが見える。
男:“か、神様”
降下して行く機体、然し少し水平に近くなる。
機長のアナウンス: “皆様、私は当機の機長です。 大変ご心配をかけていますが、どうか落ち着いて聞いてください。 当機のエンジンが原因不明の理由で、先ほどから完全に停止しています。
乗客達は叫び出す。
機長: “これより緊急アナウンスしますので、注意して聴いて下さい”
乗客達は顔を見合わせて不安そうにしている。
機長:“えー、皆さまの中で泳げる方は左側にお集まりください。 そして、泳げない方達は右側に集まってください”
乗客達は何故だと思いながら、左右に分かれる。 老人は右、若いカップルは左。
機長:“では、左側の御客様に申し上げます。 左前方に小さな島が見えますね、良く見ておいてください” 窓に顔を押し付けると小さな島が見える。 “左側の御客様は、当機から脱出した後、あの島に向かって急いで泳いでください”
飛行機はじりじり降下して、次第に海が近づいてくる。 乗客達は誰もが蒼白になる。 十字を切り神に祈る老人。 抱き合って震え泣いている若いカップル。
機長:“次に、右側の御客様に申し上げます。 ご搭乗いただきまして、誠にありがとうございます。 何時か又お会い出来る事を、乗務員一同心より願っております。 もう少々空の旅をお楽しみください”
ドーンと海に激突する音。
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